スキル・ノウハウ

【初心者向け】製薬MRのエリア講演会「企画から運営」【7STEPマニュアル】

 

こんにちは、現役MRのきすけです。
現在は、大手外資製薬企業でチームリーダーとして働いています。

 

先日に下記Tweet(Post)をしました。

 

【MR5年目でも謎だったこと】

″エリア講演会の企画と運営″

「マジで意味分からん… 誰を座長にして演者にしてとか頼み方もよくわからんし、順序が分からん
大学担当の先輩とか自分じゃ逆立ちしても思い付かんような企画をバンバンやりおるけどマジで信じられん… 出来るならやりたくない!」

 

MRの仕事の中でもムズかしさMAXなのが、エリア講演会の企画と運営ですよね。

ぼくも昔は、年1回やらされるエリア講演会が、イヤでイヤで仕方ありませんでした…

(だって段取りは果てしないし、だれもちゃんと教えてくれないじゃないですか…)

でも、大学担当になってから7年、
かれこれ、”60回を超える主幹講演会”を経験

さすがにこれだけやると、社内でも「講演会得意なヤツ」的なポジションになり、いまは他の営業所の後輩からも相談を受けたりします。

(手前味噌ですが、昨年、本社の企画部署から声がかかりました。が、死ぬほど忙しそうなので丁重にお断りました…)

世の中、優秀なMRの方はたくさんいらっしゃるので、自分の「段取りや方法」のレベルが高いとは思っていません。しかし、これまで人一倍、多くの試行錯誤をしてきた自負はあります。

昔の自分のように「講演会アレルギー」の方に、自身の経験やノウハウが少しでもお役に立てたらと思い、手順を記事にまとめました。

講演会アレルギー克服の一助になれたら嬉しいです。

※新人のころの自分のように、「何も知らない方向け」に解説しています。なので「レベル低っ!」と思われた方は、時間もったいないのでドロンしてください!

※なお、各メーカーによってルールなども違うと思います。社内ルールを十分にご確認のうえ、ご活用ください。

 

MRのエリア講演会「企画から運営」【7STEP 完全マニュアル】

講演会をやったことがなかったり、慣れていないと、

「えっ?何からどう手をつけてよいの?」

そんな風に疑問に感じると思います。

昔の自分もまさにそうで、講演会と聞くだけでもう頭がパニックでした。

なので、手順を一つずつ丁寧に説明させていただきます。

 

きすけ
きすけ
まずは全体像から!

 

エリア講演会企画の手順 7STEP

①:講演会をやる目的を言語化する
②:座長と演者の候補を決める
③:”候補日”を決めて会場仮予約
④:”座長”に打診して候補日をもらう
⑤:”演者”に打診して日程を確定する
⑥:案内状を完成させる
⑦:集客する

上記のとおり

人によって「やり方」とか「こだわり」とか違うと思いますが、手順はだいたい一緒かと思います。

この時点では「へぇ〜」とながめて、全体的な流れだけなんとなく把握しておいてください。

 

きすけ
きすけ
それぞれのSTEPごとに解説していきますね!

 

①:講演会をやる目的を言語化する

まず、最初にすべきは

「この講演会は何のためにやるのか?」を考え、言語化することです。

  • 「新薬の”適正使用推進”のため」とか
  • 「病院と開業医の連携を深めるため」など

 

教科書的な回答はいくらでもありますが、

結局は、

講演会を通じて、薬剤の処方を増やしエリアの実績を伸ばす。

これが講演会をやる目的です。結局MRは営業なので仕方なしです。

これをさらに掘り下げていくと、以下のような目的があったりします。

 

よくある講演会の目的3つ

①:役割者対策
→会いにくい先生を、座長や演者など役割者にして引っ張り出す。あるいは、座長の先生の呼びたい先生を演者に呼ぶなど、顧客の希望を叶えて返報性をねらったり、コンタクトをつけて今後につなげる。

②:エリアの課題を解決する
→エリアにおけるその製品の課題に対して、効果的な講演をしてくれる演者にドンピシャな講演をしてもらう。結果、エリアでの処方増を狙う。

③:お披露目講演
→「新しく教授が就任した」「新しく病院の部長が変わった」などの際、エリアの先生にお披露目をかねて講演を頼んだりもします。

もちろん、上記 ①、②、③の目的は必ずしも独立したものではなく、重なり合うこともありますし、むしろそちらの方がより大きな効果をねらえたりします。

大切なのは、あなたが講演会をやる”目的”を明確に話せること。

ここがもっとも重要です。

講演会を何のためにやるのか。目的を掘り下げて言語化しましょう。

 

②:座長と演者の候補を決める

次は、STEP①で決めた目的に合わせて「座長」「演者」の候補を決めます。

※念のため

座長 → 講演会の司会のDr

演者 → 講演するDr

ですね。

 

よくある座長パターン

  • 基幹病院の部長のDrだったり
  • エリアの重鎮開業Drだったり
  • 医師会が指定したDrだったり

します。

 

よくある演者パターン

  • 大口処方医の開業Drだったり
  • 〇〇大学のえらい教授だったり

です。

※メーカーにもよりますが、”演者”は会社で推奨している演者からじゃないと選出できないケースが多いです。この辺は講演会の目的を伝えたうえで、くわしい先輩や所長に相談しましょう。

 

候補がわからなかったら相談しましょう。

経験がないと、座長も演者も誰を候補にして良いかわかりませんよね。

出来るところまで自分で考えて、
それでも迷ったら、

先輩や所長にアドバイスをもらいましょう。

※ここで、偉そうに「お前、そんなこともわからんのか!」とマウントを取ってくるしょーもない先輩や所長が現れたりします。

そんなときは、「お前だって昔はできなかったくせに、偉そうにしやがって。マジで大したことねーな。」と心での中で叫びましょう。

優しい先輩がいたらその人を頼りましょう。優しい先輩があなたの近くにいますように…(祈)

講演会の目的に合わせて、座長と演者を選出。候補に迷ったら先輩や所長に相談しましょう。

 

③:”候補日”を決めて会場仮予約

演者と座長の候補が決まったら、

候補日を決めて会場を仮予約します。

候補日を決めるときのポイント

初級編

  • みんな空いているか
    →自分の予定、所長の予定、営業所の予定と重なっていない日を選ぶ。
  • エリアの予定と重なっていないか
    →医師会の講演会や会議などと重なっていないか=医師会に電話したら教えてくれます。

 

中級編

  • そのエリアで集客が望める曜日はいつか?
    →前任や卸さん、医師会の学術担当のDrなどまわりから情報を集める
  • 演者候補、座長候補の予定もざっくり探っておく
    →例えば、演者候補の担当者に「〇〇先生に今度演者依頼お願いしようと考えています。ご都合の悪い曜日などはありますか?」など

 

上記のことを確認したうえで、候補日が決まったら次は会場を仮予約します。

エリアによっても特性があると思いますが、会場はホテルや会議室などが多いですよね。

ホテルの場合、「営業担当」の方がいらっしゃるので、営業担当の方に候補日を伝えて仮予約しましょう。

きすけ
きすけ
最初は電話でもいいですが、基本メールでやり取りするのがオススメです。電話だと”言った言わない問題”が生じてトラブルになるケースがあります。

 

会場予約の時は、出来るだけメールでやり取りして文字に残しておきましょう。

 

よくある質問

ジョン
(MR2年目)
ジョン
(MR2年目)
候補日は何日間くらい設定すればよいでしょうか?

 

候補日は、

  • 少なくとも3日間
  • 通常で5日間、
  • 多い場合だと7日間   

くらいを目安にしています。

もしかすると「候補日5日間とかちょっと多くない?」と思われたかもしれませんが、

まずは、①座長に打診して日程が削られ、②そのあと演者に打診するので、

仮に候補日を3日間用意しても、座長の先生が2日間は都合が悪いとなれば、演者の先生には候補日1日のみで打診する必要があります。

もしそのたった1日の候補日が不可となると、結局もう一度候補日を選びなおして…と2度手間になっちゃいますよね。

特に、大学教授など忙しそうな演者候補には、5日間〜7日間など多めに候補日を準備すると良いでしょう。

講演会の候補日は出来れば多めに。2度手間を避けましょう。

 

いったんここまでの手順を振り返ります。

エリア講演会の手順 7STEP

①:講演会をやる目的を言語化する
②:座長と演者の候補を決める
③:”候補日”を決めて会場仮予約
④:”座長”に打診して候補日をもらう
⑤:”演者”に打診して日程を確定する
⑥:案内状を完成させる
⑦:集客する

 

きすけ
きすけ
候補日が準備できたら、次はSTEP4、座長に相談(打診)です。

 

④:”座長”に打診して候補日をもらう

候補日が決まったら、座長候補の先生に打診しましょう。

※打診→依頼すること

打診するときのポイント

  • できれば口頭だけで依頼するのではなく、
  • たて付けや候補日を記載した資料だったり、
  • 仮の案内状を作成して打診するのが親切です。
  • 候補日は可能な限り複数日もらいましょう。

 

よくある質問

ジョン
ジョン
慣れないのでなんか緊張します…。もし座長候補の先生に断られたらどうしたら良いでしょうか?

 

慣れていないと「断られたらどうしよう…」とつい心配になってしまいますよね。

ぼくも最初のころは断られるのが怖くて、打診する前、弱気になっていたのを覚えています。

でも、大丈夫です。
いくら入念な準備をしても断られることもあります。

座長を断られる理由としては、

  • どうしてもご都合が合わなかったり、
  • そもそも関係性が薄かったり、
  • 会の趣旨に賛同いただけなかったり…

まぁいろいろあります。

断られたら凹むかもですが、たいした話じゃありません。練りに練った企画が断られて、反省点があるならその経験は次に活かせばいいだけ。

もし断られてしまったら気を取り直して、次の座長候補にあたりましょう。

もしかすると、座長が変わると会の趣旨自体が変わってしまい、一から練り直しが必要な場合もあるかもしれません。

なので、

  • 「この座長候補に断れたら…」
  • 「演者候補に断られたら…」

ということを想定し、

プランB、あるいはプランCをあらかじめ考えておくとイレギュラーがあっても次の一歩を素早く踏めます。

 

座長に打診して、候補日が絞られました。

あとは演者にお願いするだけです。

 

よくある質問②

ジョン
(MR2年目)
ジョン
(MR2年目)
なんか、座長お願いするとか申し訳ないっす…

 

これは過去に後輩にも言われましたし、ぼくも昔はそんな風に思っていました。

結論から言うと、

「座長をお願いすることは全然申し訳ないことではない」です。

 

なぜなら、Drにもメリットがあるから。

例えば、

  • メーカーから謝礼も受け取れるし
  • その疾患のエリアの代表として顔が立つし
  • メーカーや参加Drなどから感謝もされるから

 

さらに想像するに、座長を依頼されたDrの気持ちはこんなパターンがあると思います。

  • 「せっかく頼りにされたのだから受けてやるか。」
  • 「演者の〇〇先生とは久しぶりだな。楽しみだ。」
  • 「アイツ(MR)頑張ってるし。力になってやるか。」
  • 「この疾患、薬剤のことは、エリアの先生方にも勉強して欲しいところだった。良い機会だ。」

上記のとおり

もし「座長をお願いするのは申し訳ない…」と思われているなら、それはちょっとした思い込みですよ。

胸を張って打診しましょう。

 

⑤:”演者”に打診して日程を確定する

ここまできたらもう少しです。

いよいよ、演者に打診します。

  • 講演会のタイトル
  • 候補日時
  • 予定会場
  • 会のテーマ
  • 招聘する対象

などを記載した資料や仮の案内状を用意して打診します。

 

演者に打診するときのポイント

  • 演者候補が自分の担当Dr
    →自分で打診するのでシンプルで趣旨も伝わりやすいですね。
  • 演者候補が営業所メンバーの担当Dr
    →WEB面談とかでしたらリモートで同席もありです。
  • 演者候補が他営業所MRの担当Dr
    →あらかじめ電話してすり合わせすると細かいニュアンスも伝えられます。

 

演者のDrに無事に承諾(OK)してもらえたら日程確定となり、講演会の形が決まります。

そのあとは、

  • 会場ホテルに本予約の連絡をして、
  • 座長のDrに確定の日時をお伝え、
  • 演者の担当MRにも同様に連絡を入れて、
  • 営業所メンバーにも日程を伝えます。(他の企画と重ならないため)

ここまでで、おおよその段取りは終了です。

 

きすけ
きすけ
いや〜ほんとやることいっぱいで大変ですね。

 

⑥:案内状を完成させる

案内状に記載すること

  • 日時
  • 会場
  • 座長
  • 演者
  • 演題

上記の内容が決まったら、案内状を作成します。

これも慣れていないと大変な作業です。

とはいえ、いまの若い方はパワーポイントなどもサクッと使いこなせますよね。

案内状作成も性格がモロに出ます。

手前味噌ですが、ぼくはこだわりが強いせいか、社内では「お前、キレイな案内状を作るな!」と言ってもらえることが多いです。

意識しているポイントは以下です。

案内状作成時に気をつけている点

  • 字体をそろえる
  • フォントの大きさもそろえる
  • 漢字大きめ、ひらがな小さめ
  • グリッド線をつかい幅をそろえる
  • 出来たら、印刷してバランスをみる

書きだしてみて気づいたんですけど、マジで当たり前のことしかやっていないですね。

ごめんなさいww

とはいえ、神は細部にやどりますので、丁寧に気持ちのこもった案内状を作成しましょう。

あなたの気合と会への想いは、きっと同僚や顧客にも伝わるはずです。

 

⑦:集客する

ここから先の講演会の集客は、あなたも何度も経験されているはず。

コロナ禍ではWEB講演会も乱立していて、“いかに集客するか”がますます課題になってきていますよね。

主幹でやる場合には、自身で行う招聘活動ももちろんですが、

営業所メンバーにいかに積極的に案内してもらうか。」も重要です。

あなたも色々ノウハウをお持ちかと思いますが、ぼくが営業所の皆さんにたくさん招聘してもらうために行っていることも紹介させていただきます。

 

営業所メンバーにたくさん招聘してもらうコツ

  • みんなが案内しやすいよう段取りをする
    → 案内用テンプレ文の配信、会の趣旨やねらいを細かく伝える
  • こまめに集客状況を配信する(Zoomウェビナーの登録状況など)
  • 個別にメール、電話して”お願いする”
    → 何ごともお願いは、”1対1”だと響きます。
  • 所長からもみんなにメールしてもらう

 

たくさん集客するためのコツ

もちろん「企画の話題性」や「建付けの工夫」(話題の演者、人望のある座長)など企画段階での設計はおおいに大切です。

でもそれ以上に大切なのは、

「来てほしい!」「視聴してほしい!」という担当MRの熱意だったりします。

ぼくもこれまでのMR人生を振り返ると、

講演会に来てくださった先生の多くは、何度も何度も案内して「来てください!」と熱意が伝わったケースが多いように感じます。

 

最後に、集客の神「キングコング西野さん」の言葉を紹介します。

集客できない理由は、「集客を骨の髄までナメ腐っている」から

ちなみに参考までに言っておくと、皆さん、ご存知「レディー・ガガ」の来日公演が今年の9月3日、4日にありますが、チケットの発売開始が4月20日です。

もう一度言いますよ。

レディー・ガガが9月3日におこなうイベントのチケットの発売開始が4月20日です。

その上で、彼女達のチームは、「チケットが売れるだろうか?」と毎日震え、チケットの売り上げの伸びを逐一チェックして、次の手、次の手を打っています。

世界のレディー・ガガで、この調子です。

※2022/6/24「集客できない人の共通点」西野亮廣 Voicy

 

あのレディーガガですら、5ヶ月も前からチケット発売。

僕らの講演会案内開始が1ヶ月前では遅すぎるのです。

この話を聞いて「自分の講演会の集客は甘すぎる…」と猛烈に反省しました。

つまり、良い講演会を企画してたくさん集客するためにもっとも重要なことは、

“早めに動く!”

これに尽きます。

講演会予算をもらったらすぐに動き出しましょう。

たくさん集客するためには、熱意ある集客と”早めに動くこと”が大切。

 

 

Webカンファレンス集客のコツ

最近はWebの講演会がずいぶん増えましたよね。

ぼくの先輩がいつもはずさない集客をされているので極意を教えてもらいました。

ご参考まで!

【熱意とマメさ】先輩MRから学んだWEBカンファレンス「集客の極意」 先日、下記のTweetをしました。 https://twitter.com/Kisuke_MR_n...

 

 

まとめ:MRのエリア講演会「企画から運営」

最後まで読んでいただいた方、お疲れさまでした。

うまくお伝えできたか自信がないですが、最後に手順を振り返ります。

MRエリア講演会の手順 7STEP

①:講演会をやる目的を言語化する
②:座長と演者の候補を決める
③:”候補日”を決めて会場仮予約
④:”座長”に打診して候補日をもらう
⑤:”演者”に打診して日程を確定する
⑥:案内状を完成させる
⑦:集客する

 

MR業務のラスボス的な、講演会の企画と運営

何度も言いますが、

もしあなたに、かつての僕のような苦手意識があるなら、

マジで、単にやったことがないだけです。凹む必要”一切ナシ”です。

何度も経験することで、いつしか当たり前のように効果的な講演会が出来るようなります。

 

きすけ
きすけ
今回の内容が少しでも参考になったら嬉しいです!

 

※最後に補足です。

講演会に並んで、難易度が高いのが、「社内勉強会&慰労会」

コロナ以降、予定のある方もいらしゃるのではないでしょうか。

「経験が少なく、段取りに自信がない…。」
「慰労会でDrと何を話したら良いかわからない」

という方はこちらの記事もお役に立てると思います。合わせてご覧ください。

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