こんな疑問にお答えします。
この記事の内容
- MRは接待があって大変は本当?→【現状】半分本当です。
- 【接待の種類】と【メリット・デメリット】を解説
- 接待をしなくてもMRがDrと仲良くなる方法とは?
この記事を書いている僕はMR歴16年目。長らく業界にいるので、接待はこれまでおおよそ50回くらいは経験してきました。
「製薬会社のMRはお医者さんの接待とかあって大変」と聞いたことがあると思いますが、なんとなくDrにヘコヘコして大変そうなイメージをお持ちかもしれません。
とはいえ、接待も経験していないと実際どんなものか、なかなかイメージもわかないですよね。
そこで今回は、「製薬会社MRと接待」をテーマに、最近の状況、MRと接待のこれまでの歴史にいたるまで、実体験交えお話しさせていただきます。
この記事を読んでいただくことで、「MRと接待」についてリアルな現状を知っていただけると思います。
製薬会社MRは接待があって大変は本当?→ 【現状】半分本当です。
「MRは接待があって大変なのか?」
令和5年現在、率直な答えはこうです。
MRの接待は、昔は沢山あって大変だったけど、最近はめっきりなくなり、大変じゃなくなった。
ズバリ、これがリアルな回答であり、現状です。
MRが接待をしていたのは、実は昔の話でいまはすっかりなくなってしまったんです。
なぜ、MRの接待はなくなってしまったのでしょうか?
接待がなくなった理由は以下です。
MRの接待が無くなった理由
- 理由①:業界ルールが厳しくなった
- 理由②:コロナでほぼ0になった
理由①:接待に関する業界ルールが厳しくなった
それまで接待が当たり前だった製薬業界ですが、2012年に大きく状況が変わりました。
「メーカー公取協の接待行為に対する新運営基準」というものができたためです。
医療における医薬品の購入・選択は、品質と価格および的確な情報に基づく医療機関の適正な判断によって決められるべきであり、医療機関、医療担当者等に対する不当な金品・サービスなどの景品類提供は、この医薬品の適正な選択を歪め、過剰使用・不当使用を招くおそれがあります。
医薬品購入を誘引する手段として不当な景品類を提供する行為は、他の産業に比べて格段に大きな弊害をもたらします。
※医薬品公取協
ムズイですね..。
簡単にいうと、
メーカー各社が自分たちで話し合って「ちょっとこれまでやりすぎだったから接待のルールを厳しくしてクリーンな業界にしよう」としたものです。
接待ルール改正後の詳細
この2012年のルール改正で、これまで普通に行われていた、ゴルフやカラオケ、2次会などは「華美過大」となり、全部ダメになりました。
一つだけ抜け道がありました。
具体的には下記です。
”あくまで、医薬品の情報提供の流れで必要性があれば、施設から歩いて行ける距離のお店で、一人5000円までなら飲食してもいいよ”というものです。
これは抜け道ルール的なものでしたが、しばりがきつく全然流行りませんでした。ぼくは一度も使わずに終わりました。※そしてこれも2019年に廃止となっています。
そんな中、いまだに唯一、Drと合法的に飲食できるケースが存在します。
今も接待が許される唯一のケース
それが、社内講師勉強会後の慰労会です。
どんなものかというと、Drに社員向けに病気や薬のことを講義してもらいます。
そのあと「ありがとうございました。」の気持ちを込めて、一緒に食事(慰労会)にいきます。
実質は接待同様で、この社内講師勉強会後の慰労会は今も普通に行われています。
「社内勉強会や慰労会についてもっと詳しく知りたい」という方は、≫【Drの社内講師勉強会】打診から慰労会まで「MR完全マニュアル」【前編】もご参考下さい。
これまで自身が学び得た、慰労会に関するすべてをつめ込んでいます。
理由②:コロナで接待は0になった
これまでの経緯としては、【2012年のルール改正で接待が禁止に】→【現在も社員向け勉強会後の慰労会はOK】ということをお話させていただきました。
しかし、唯一許されていた社員向け勉強会の慰労会もコロナでほぼなくなってしまいました。
今や、MRとお医者さんの接待は、ほぼ無縁になってしまったのです。
これはこれでさびしさもありますが、今後コロナが落ち着いたらまた再開する可能性もあります。
※2023/5/13追記
予想していた通り、コロナ5類となり、出来るメーカーでは慰労会も徐々に復活してきているようです。
少しお話が前後しますが、次の章では「そもそも接待って何をするの?」「メリットやデメリットは?」といった点についてお話させていただきます。
「そもそも接待とは?」MRのメリット・デメリット合わせて解説
MRの世界でいう接待とは主に以下2つです。
- 高めのお店でDrと食事をする
- ゴルフに一緒に行く
高めのお店でDrを食事をする
お寿司屋さんとか高級フレンチとかでDrと食事をします。
2012年から業界のルールが厳しくなりましたが、お酒を飲みながら一人上限20000円という贅沢な料理を食べます。
もちろん費用は製薬メーカー持ちです。
ここはきっとイメージのとおりかと思います。
ゴルフに一緒に行く
いわゆる、ゴルフ接待と言われるものです。
Drはゴルフ好きな方が多いです。
しかも、うまい。
製薬メーカーが費用を持って、土日に一緒にラウンドします。
先輩方に聞くと、昔は平日のゴルフの付き合いもあったと聞きます。
一般的な接待の定義
一般的な「接待」の定義についても触れます。(僕は入社当時、肩もみとかするもんだと真面目に思っていましたw)
接待の意味は、お客様をおもてなしすることで、よいサービスのレストランやおいしい料理を出してくれるお店に顧客(法人)を招待して、会食をすることや一緒に娯楽を楽しむことなどがあげられます。※マナラボ
ここでもしかすると、なんとなくイメージはついたけど、「なんでわざわざそんな大変そうなことやるの?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
次の章では、「接待をするメリットやデメリット」について解説します。
製薬会社MRがお医者さんを接待をするメリット・デメリット
まずは、MRが接待をするメリットについて、実体験もとに箇条書きでお話させていただきます。
MRが接待をするメリット
- Drと仲良くなれる → 距離が縮まることで今後のビジネスを円滑にする
- Drの情報を知れる → 話題が増え仕事がやりやすくなる
- 人生の勉強になる → Drは人格も一流の方が多い
- 美味しいものが食べれる → マナーの勉強にもなります
- 街の経済がうるおう → Drは地元経済がうるおうのを喜びます
なんとなくイメージわきましたでしょうか?
一方、デメリットはこんな感じです。
MRが接待をするデメリット
- 気を使うのでめちゃくちゃ疲れる
- 緊張でおいしい料理を味わえない
- 夜や土日の時間がつぶれてしまう
一言でいうと「気疲れするけど得られるものも大きい」のが接待です。
ちなみに、公務員のDrには接待が禁止されています。
※◯◯市立病院とか◯◯国立病院とかにつとめるDrは公務員なので不可です。
MRは接待以外にこんな付き合いも
接待には入りませんが、食事やゴルフ以外にもMRがDrにお付き合いすることが昔は沢山ありました。
以下は僕やまわりのMRの実例です。
接待以外の付き合い
- 従業員旅行のおとも、ガイド
- 庭の草むしり、手入れ
- バンドのメンバーとして活動
- フットサル、野球、卓球など
- 愛人と会う時のアリバイ工作
もはやなんでもありですね。
昔はこうした付き合いも往々にしてありましたが、今はめっきりなくなってしまいました。
こうしたリラックスした場面でDrの違う一面を見れたり、いろいろな話を聞くチャンスでもあるので、完全になくなるのはさびしさもあります。
その一方で、夜や土日の接待という仕事がなくなったので、MRはさらに働きやすくなりました。
世間では「MRはやめておけ」や「MRなんてオワコン」という声もありますが、個人的には逆の考えで「MRは今が最高」だと思っています。気になる方はこちらの記事もご覧ください。≫【逆説】今こそ製薬会社MRになるべき【ノマドMRが快適すぎる】
接待をしなくてもMRがDrと仲良くなる方法
最後にこんな疑問に答えたいと思います。
「接待をしなくてもMRはDrと仲良くなることができるか?」
答えは、Yesです。 接待がなくてもDrと仲良くなることはできます。
なぜなら、
信頼関係の構築は、お酒を飲まなくてもできるから。
具体的は方法は以下です。
接待なしでMRがDrと仲良くなる方法
- まごごろの営業をする
「え?なにそれ?」と思われたかもしれませんので、ちょっとぼくの身近な先輩MRの具体例を紹介します。
A先輩のケース
接待全盛の時代でも「俺は絶対に接待はしない!」と豪語していたA先輩のお話を紹介します。
A先輩は、接待を1度もしない営業スタイルで、圧倒的な実績をあげ全国1位になりました。このころは、接待全盛の時代でしたので、周りからはずいぶん珍しく映っていたようです。
接待をしなくても成果を出す秘訣を聞いたところ、A先輩はこう答えてくれました。
接待などせずとも、真心が通じればDrの心は動くし、成果をあげられることを教えてもらいました。
実際、僕も接待を何度もしたのに、全然実績があがらなかったり、一方で、お酒を飲まずとも、まじめに通っていたら、売上が大きく伸びた先もあります。
接待をせずとも、真心の営業によってDrと信頼関係を築き、高い成果を上げられる。
製薬会社MRと接待に関する「Q&A」
ここからMRに関してよくある質問についてもご紹介させていただきます
Q、MRの接待が禁止になったのはいつからですか?
記事内でも少し触れましたが、MRの華美な接待が禁止になったのは、2012年4月からです。
来月からメーカー公取協の接待行為に対する新運営基準が実施される。これによりMRが医師に対する「華美な接待」が禁止される。接待の自主規制見直しは約10年ぶり。引用:薬事日報
現在も医薬品の情報提供の流れで必要性があれば、5000円以内の飲食が認められていますが、現場ではあまり使われておりません。
一方、社内勉強会後の慰労会は、現在でも行うことができます。
Q、お酒を飲めないのですが、それでも接待は出来ますか?
大丈夫です。
ぼくはお酒飲めるので、接待中もお酒をいただきますが、同僚や先輩、所長の中にもお酒を飲めない方は少なくありません。
そういう方は、ウーロン茶やジンジャーエールで接待をこなします。
飲めない人にお酒を強要するDrはいないので、まったく問題なしです。
Q、最近はコロナも落ち着いてきましたが、どうなのでしょうか?
2023年4月現在、コロナ5類に向けて、面会や講演会も徐々に対面が増えてきました。
それにともない、社内勉強会後の慰労会は、少しずつ増えてきているようです。
また、コロナ5類以降の予想される変化については担当している大学教授にもお話をうかがっています。ご参考まで。
【50代前半/大学教授】
に気になっていることを聞いたQ、「コロナ5類へ向け、徐々にオフライン(対面)も増えてきましたが、学会、講演会、MRとの面会は、今後どうなりそうですか?」…
— 外資製薬MR / きすけ (@Kisuke_MR_nomad) March 29, 2023
【50代前半/大学教授】 に気になっていることを聞いた
Q、「コロナ5類へ向け、徐々にオフライン(対面)も増えてきましたが、学会、講演会、MRとの面会は、今後どうなりそうですか?」
・学会は、ハイブリッドが主流になってくると思う。移動にコスト(お金と移動時間)がかかることは否めないけど、対面の良さはやっぱりある。一方で、家庭や診療の事情で、現地へ行けない先生にとってWebは便利。なので出来るならハイブリッドが理想かな。
・ただ、ネックなのはWebを繋げるためには業者に入ってもらわなきゃいけない。zoomもずいぶん慣れたけど、学会規模を自分たちでやるのは無理。あれがなかなか高いんだよね。最近は広告やランチョンどの協賛も各メーカーのきなみ厳しいから、予算の面でジレンマはある。
・講演会も対面が増えてきた。立食の懇親会はどうなるか分からないけど、メーカーの講演会も今後はハイブリッドでいいんじゃない?ホテルもメーカーも小慣れてきてるじゃん。
・MRさんと我々の面会は、今後もWeb中心になるんじゃないかな。アポイントの対面はあるかもしれないけど、かつてのような入り放題に戻ることはないと思う。
・最近は外資中心にMRを減らしているみたいだけど、これからオフラインが増えて面会できるようになったら、人数減らしていない会社が一人勝ちするかもよ。各社、この変化をチャンスに変える大事な時期だね。
Q、接待ではセクハラとかないか心配です。そういうこともあるんでしょうか?
ぼくは男なので、もちろんそうした被害にあったことはありませんが、
同期や他の女性MRの方からは、Drに接待の場でセクハラじみたことを言われたり、されたという話は、正直、聞いたことがあります。
お酒の入る場ですし、気が大きくなったり、勘違いされるケースもあるようです。
しかし、これはあくまで昔の話で、最近は接待自体減ったせいか、そうした話も聞きません。
女性の場合、慰労会の場などでは、上司に同席してもらうのがスタンダードです。
Q、未経験からもMRになれますか?
今はMRも減少傾向にあり、昔よりも未経験からMRになるハードルはかなり上がったようですが、大卒で普通免許があればチャンスはあると思います。
未経験からMRを目指す方は、まずはCSOのコントラクトMRを目指すのが現実的です。まずはプロの転職コンサルタントに相談するのが良いかと思います。
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Q、MRの将来性は?
最近は大手製薬メーカーの早期退職も相次いでいるため、MRの将来性について不安を感じている方も多いと思います。
MRの将来性に関しては、
- 市場の状況
- 現役MRの目線
- プロの転職エージェントの見解
- Drの生の声
4つの視点で「MRの将来性」について【MRは将来性がない?】「減り続ける理由」と「生き残るための4条件」で考察しています。
合わせてご覧ください。
まとめ:「製薬会社MR=接待」は昔の話。今はさびしくも働きやすい時代
この記事では、MRの接待についてこれまでの歴史から最近の状況までお話しさせていただきます。
ポイントを5行でまとめさせていただきます。
- MRが接待があって大変だったのは昔のはなし
- 今は業界ルール改正とコロナでほぼ0になった
- 気疲れするがビジネス円滑になるメリットあり
- “まごごろの営業で”接待なしでも成績は上がる
- 接待なくなり寂しさもあるが働きやすくなった
昔は、平日の夜や土日も、Drとの接待やお付き合いで仕事することが多かったですが、今はほぼなくなりました。
Drと距離を縮める機会が減ってしまったのはさびしさもありますが、平日夜も土日の時間も自由に使えるようになり、MRはさらに働きやすくなったと実感しています。
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