こんにちは、現役MRのきすけです。
高給で休みも多く、ホワイトな職種として知られる製薬会社のMR。
「薬がなくなることはないから、MRは一生安泰だよね。」
ぼくがMRになった十数年前はまだそんなことも言われていましたが、残念なことに、もうそんな声はすっかり聞かなくなりました。
これからMRを目指されている方では、
「魅力的な仕事だけど将来性は大丈夫?」
「せっかく入社しても長く働けないのでは?」
そんな不安を抱えている方も少なくないと思います。
一方、ぼくのように今まさに現役でMRをしている方では、
「MRとしての将来が不安…」
「他の道も考えておいた方が良いのかな」
そんな将来への不安を抱えていらっしゃる方が大半なのではないでしょうか。
実際、ミクス編集部が行った「MR意識調査2023年版」によると、自身のキャリアに不安を感じるとの回答が全平均の8割を超えた。特に、外資系企業勤務者からの回答は9割近くに及んだ。ミクスオンライン
そこで今回は、
「MRの将来性」「生き残るMRの条件」
などについて、
- 「市場の状況」
- 「プロの転職コンサルタント」の視点
- 「現役MR」としての見解
- 現場で耳にした「医師の声」
など、4つの視点から、MRの将来性について考察し、お話したいと思います。
この記事を読んで頂くことで、MRの将来性や、今後とるべきアクションについて知っていただくヒントになると思います。
減り続けるMRと危ぶまれる将来性
令和に入ってから、大手製薬会社の大規模な(早期退職)リストラが止まりません。事実、MRの数は2013年の6万5752人をピークに毎年減り続けています。
引用元:MR白書
また、ミクスが行った最新の調査でも、昨年2022年度は、少なくとも2000人を超えるMRが減少したことが分かっています。
22年のMR数は計3万189人で前年比6.6%減、人数では2126人の減少となった。ただ、21年に早期退職者を募集したとみられるノバルティスは「非開示」で、実際の減員数や減少率はさらに大きい可能性がある。引用元:ミクス
MR大リストラ時代の理由については、こちらのYouTube動画もご参考下さい。
鋭い方では、MRが減っているということは、「国内における医薬品の売上自体が減っているのでは?」と疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。
しかし、答えは“NO”です。
国内医療用医薬品市場は成長を続けているのです。
むしろ、日本の医療用医薬品市場は成長を続け、昨年は過去最高額(10兆9395億円)を記録しています。薬の売上は減っていないんです。引用元:Answers
それではなぜ、MRはこんなにも減り続けているのでしょうか?
その理由については次の章で考察したいと思います。
【事実】MRが減り続けている3つの理由
MRが減っている理由はさまざまですが、主な理由は以下3つと考えます。
MRが減っている3つの理由
①:大プライマリー時代の終焉
②:コロナによる訪問規制
③:デジタルテクノロジーの台頭
それぞれ見ていきましょう。
① 大プライマリー時代の終焉
かつては、糖尿病や高血圧といったプライマリー領域の医薬品を、各社、多数のMRを動員し、SOV(シェアオブボイス)を上げることで売上を競っていました。
しかし、そんな大プライマリー時代も終わりを告げ、今は状況が変わっています。
自身の担当する大学教授はこう語ります。
「プライマリーの薬はある程度出尽くした感がある。糖尿病も高血圧も薬は十分そろった。あとは患者さんの意識の問題が大きいと思う。」 (大学教授)
加えて、プロの転職エージェントはこうも語ります。
「プライマリーしか経験のないMRが、今後生き残っていくのは正直厳しいと思います。これからはオンコロジーや希少疾患を担当するスペシャリティMRの需要が高いです。」(転職コンサルタント)
多くのMRを抱えるプライマリー部隊の必要性・需要が薄れてきており、それに伴ない、大規模な早期退職(リストラ)が行われ、結果、MRの数が減っています。
各社の早期退職(リストラ)については、こちらの記事でまとめています。合わせてご覧ください。
“大プライマリー時代”が終わり、MRが減っている。
② コロナによる訪問規制
コロナはMRの働き方を大きく変えました。
現場では明らかなゲームチェンジが起こっています。
これまで当たり前のように訪問していた医療機関も、コロナ以降は訪問規制がしかれ、MR活動には大きな制限がかかっています。
医療機関を訪問しているMRが原因で、コロナを蔓延させてしまっては大変なことなので、仕方のない話です。
実際、日経メディカルの調査でも、MRの訪問規制を行っている施設がコロナ以降増えていることが明らかになっています。
アンケート回答時の「2021年12月16日~2022年1月3日」で「訪問規制あり」と回答した医師は全体の64%で、前回調査時(2019年2月)の57%からさらに何らかの訪問規制を設けた医療機関が増えたことが伺えます。引用:日経メディカル
ぼく自身もコロナ前は、1日少なくとも5人以上、多いときは10人以上のDrと面会していましたが、今は3〜4人会えれば良いほうです。
それくらい訪問規制でDrと会いにくくなっています。
「MRってどんな一日を過ごしているの?」という方は、こちらのnote記事もご覧ください。今年(2023)に入ってからの実際の1日のスケジュールを紹介しています。
コロナ以降、訪問できる施設が減ったことで、MRの人員整理を行う会社が増えている。
③ デジタルテクノロジーの台頭
デジタルテクノロジーの台頭もMRが減っている要因の一つです。
例えば、日本最大級の医療系情報専門サイト「m3.com」が運営する「MR君」と呼ばれるサービス。
MRが”IT化”したようなサービスで、医師は無料で登録することが出来て、各メーカーが提供する豊富な医療コンテンツをネットから閲覧することができます。
しかもこのサービス、コンテンツを視聴したりアンケートに答えると、ポイントが貯まるんです。
そのポイントは、商品と交換できるので、ポイ活かねてMRくんを活用しているDrがぼくの担当でもたくさんいます。
ちなみに、こちらのDrは1年間で8万ポイントゲットされたそうです。情報収集しながらポイ活できるので割が良いですよね。
現場では、アポイントを打診すると医師にこう言われることがあります。
Dr:「情報はネットで見ておくので、面会はなしで大丈夫です。」
これを言われるとMRとしては凹みますが、ITに慣れている若手Drでこうした傾向が強いです。
さらに最近はこんなニュースもありました。
富士フイルムビジネスイノベーションは4月6日、製薬企業と医療機関をつなぐ医薬品情報提供Webプラットフォームを構築し、製薬企業向け「医薬品情報提供DX化支援サービス」として提供を開始したと発表した。同社は、これにより市販直後調査にかかるMR業務を約55%削減できると強調する。ミクス
今回の富士フィルムの事例のように、IT化にとどまらず、DX(デジタルトランスフォーメーション)により会社を仕組みから変えることによって、MRの数を減らす会社が今後も出てきそうです。
MR君をはじめ、デジタルの台頭もMRが減っている要因の一つ。
MRが減っている主な要因について、いったん振り返ります。
MRが減っている3つの理由
①:大プライマリー時代の終焉
②:コロナによる訪問規制
③:デジタルテクノロジーの台頭
今後こうした流れは止まることなく、MRはますます減り続けることが予想されます。
しかし、そうした中でも、社内の”50代前半の先輩MR”はこう語ります。
「まぁ、そうは言っても、自分はMRの経験も長いし、なんとか定年までは走りきれるでしょ」(50代先輩MR)
ぼくも「そうですよね。」と相槌を打ちましたが、そんな希望を打ち消す事件が昨年末に起こりました。
止まらないリストラ「恐怖のポジションクローズ」
大手製薬会社の早期退職(リストラ)の中でも、昨年末、業界をざわつかせたのが、ヤンセンファーマのポジションクローズです。
これまでの早期退職は、「もし会社を辞めるなら、上乗せで退職金をあげます。辞めたい人は手を挙げて。」と社員の希望を募るものでした。
しかし、そうした早期退職とは異なり、今回のヤンセンファーマのポジションクローズは、「はい、明日からこの部署はなくなります。では、さようなら。」という非情極まりないもの。
いまは組合が立ち上がって一部の社員さんが会社と交渉を続けているそうです。
引用:ミクスオンライン
実際ぼくのまわりでも、このニュースを受けて、「このままじゃさすがにマズい…。」という空気感が日に日に高まっています。
こうした流れを見ていると、現役MRの立場としては、さらなる不安が生まれてきます。
それは、
「もし、自分の会社もそうした事態(早期退職やポジションクローズ)になったら…」
「転職をしたくても、市場にはMR難民が溢れているのでは?」
というものです。
そうした不安ときちんと向き合い、少しでも払拭したいという気持ちで、今年(2023)に入ってからプロのエージェントに転職市場に関して「率直な不安と疑問」をぶつけました。
いろいろ教えていただいたので、次の章で詳しく解説させていただきます。
2023年「MR転職市場のリアルな現状」
2023年現在のリアルなMRの転職市場の現状について、個人的にもっとも頼りにしているMRBiZ(エムアールビズ)のコンサルタントと面会いただき、下記疑問をぶつけました。
求人数が昨年比1.4倍で増えているというのは正直意外な話でした。
その他、以下のような不安や疑問にも親身に答えていただきました。↓↓
聞いた質問
「MRBiZ」に
- 「どんな求人が増えていますか?」
- 「(先発)メーカーからメーカーへの転職は、難しいですか?」
- 「やはり、35歳以上の転職は、ハードルが高いですか?」
- 「CSOは、いまどんな感じですか?」
- 「令和時代、なにをすれば、市場価値が上がりますか?」
- 「コロナ以降、訪問不可先でのWEBを活用した成功事例は、市場価値を上げますか?」
ご興味ある方はこちらの記事をご覧下さい。
https://kyoukarabokuha-mr.com/2023/01/28/%e3%80%902023%e5%b9%b4%e7%89%88%e3%80%91mrbiz%e3%81%ab%e4%bb%8a%e3%81%ae%e4%b8%8d%e5%ae%89%e3%81%a8%e7%96%91%e5%95%8f%e3%82%92%e3%81%99%e3%81%b9%e3%81%a6%e3%81%b6%e3%81%a4%e3%81%91%e3%81%a6%e3%81%bf/
MRと面会しなくなった医師たち
コロナはMRと面会するDrの数を減らしました。
どちらかというと、「MRと会う医師」と「会わない医師」を2極化させたという表現が正しそうです。
ミクスにもこんな記事がありました。
オンライン面談を利用する医師と利用しない医師で二極化していく可能性がありそうだ。医師5000人を対象とした調査によると、2022年10月のオンライン面談利用医師の割合が半年前の4月から約10ポイント減少した一方で、医師1人あたりの利用回数は微増した。引用:ミクス
このことは、現場を回っている肌感覚としても感じています。
次に示すのは、ぼくの担当Drの話です。
コロナ前は、医局廊下での立ち話に付き合ってくれていたA先生(大学/准教授)
しかし、コロナ以降、度々Webアポイントをお願いしても、返信はなし。
「嫌われたのか」と不安に感じ、仲の良い他社メーカーに伺うと、「同じように断られた」とのこと
秘書さんにも後日相談したところ、「A先生は、コロナ以降はメーカーさんの面会はお断りされています」と…。
その後も、面会不可が続いているため、A先生には、お手紙を添えて資料郵送する日々が続いています。
今回のケースのように、コロナは
「これまで立ち話程度ではMRと会っていたけど、わざわざアポイントを取ってまで会うつもりはないよね」というDrを顕在化させたとも言えます。
とはいえ、MRが完全に0になることはない
これまで悲観的なお話が続きましたが、個人的にはMRが完全になくなることはないと考えます。
これは、実際にMRをやられてる方ならきっとご理解いただける点かなとも思っています。
こちらのtweetもご覧ください。
年末お会いしたDrに言われた言葉
″50代/大学/講師”
『同じような薬があったとき、どう選ぶかは、やはりMRさんの″人柄″ですよ。マメに来てくれて、誠実で熱心な人の薬を使いたい。』
ほんとにありがたい話で、こう仰って下さるDrがいる限り、きっとMRはなくならない。日々、人間性磨かなければならぬ
— 外資製薬MR / きすけ (@Kisuke_MR_nomad) January 2, 2023
年末お会いしたDrに言われた言葉
″50代/大学/講師”
『同じような薬があったとき、どう選ぶかは、やはりMRさんの″人柄″ですよ。マメに来てくれて、誠実で熱心な人の薬を使いたい。』 ほんとにありがたい話で、こう仰って下さるDrがいる限り、きっとMRはなくならない。日々、人間性磨かなければならぬ。
MRとしては本当にありがたい話です。
「MRが0にはならない理由」については【MRはなくなる?】これからも製薬会社MRがなくならない「3つの理由」でくわしく考察しています。
https://kyoukarabokuha-mr.com/2022/11/02/%e3%80%90mr%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%8f%e3%81%aa%e3%82%8b%ef%bc%9f%e3%80%91%e3%81%93%e3%82%8c%e3%81%8b%e3%82%89%e3%82%82%e8%a3%bd%e8%96%ac%e4%bc%9a%e7%a4%bemr%e3%81%8c%e3%81%aa%e3%81%8f%e3%81%aa/
「MRは0にならない。」その一方、早期退職のニュースは鳴り止まず、生き残りは厳しくなってきている。
「では、どのようにMRとして生き残るか?」
ぼく個人としては、コロナ以降のMRにはこれまでになかった力が求められるようになったと感じています。
そこで次の章では、「コロナ以降のMRに求められている新たな力」について、考えてみたいと思います。
コロナ以降「MRに求められている新たな3つの力」
コロナでMRの働き方が大きく変わったことは前述しましたが、それにともない求められるスキルや力も変化してきていると感じています。
コロナ禍のMR活動を経験中の身としては、以下、3つが大切だと感じております。
言い換えると、この3つの力に長けている人が成果を上げ、活躍している印象です。
新たに求められている「3つの力」
①:突破力
②:マメ力
③:文章力
くわしくは、【生き残りをかけて】コロナ禍でMRが活躍するために必要な「3つの力」でお話させていただいております。
ぼくも上記3つの力に磨きをかけて、これからも出来る限りMRとして生き残りたいと考えています。
とはいえ、これはあくまでイチMRの個人的な見解に過ぎません。
「業界のプロは、”生き残るMR” についてどのように考えているのでしょうか?」
プロの転職エージェントからも、「生き残るMRの条件」に関して、現状のベストアンサーをいただいております。
次の章でお話させていただきます。
【プロが語るMRの将来性】「生き残るMRの4つの条件とは?」
※先に「今後も生き残るMRの定義」について目線合わせをさせてください。
①:早期退職などがあっても肩をたたかれない。
②:今の会社を退職してもMRとして転職が出来る。
早速、結論ですが、プロの転職エージェント(MRBiZ)のコンサルタントに教えていただいた「今後、生き残るMRの条件」は以下です。
令和時代、生き残る「MR4つの条件」
- ①「オンコロジー」or「スペシャリティ」
- ② 40代以上のMRはマネジャー経験がある
- ③ キーオピニオンDr・大学病院担当の経験がある
- ④ MA(メディカルアフェアーズ)・MSLの経験がある
一つでも当てはまるものがあれば、今後きびしさを増す、製薬業界を生き残れる可能性が高いとのことです。
それぞれ見ていきましょう。
①「オンコロジー」or「スペシャリティ」
現在の担当領域が「オンコロジー」あるいは「スペシャリティ」だと、MRとして生き残れる可能性が高いようです。(もちろん過去に経験のある方でもOKです)
これらの領域は、その専門性ゆえ、医師からの情報提供ニーズが今後も高く、2WAYのコミュニケーションで提案できる。といった強みがあるとのこと。
記事前半でもお伝えさせていただいたとおり、大量のMRでDetailをかけて売上をあげる時代は終わりました。
今後は、スペシャリティやオンコロジー領域の経験があり、Drと2WAYで症例ベースのディスカッションが出来る、「高い倫理観感」と「コミュニケーション能力」を持ち合わせたMRが求められます。
② 40代以上のMRはマネジャー経験がある
40代以上で、マネジャー経験がある方は、今後も生き残れる可能性が大きいとのことです。
「どうして?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、理由は、「人を束ねた経験」が転職市場では評価されるとのこと。
とくに、メーカーを早期退職して、CSOへ転職するケースもあるとか思いますが、40歳以上ではMRの採用基準として、マネジャー経験の有無が採用のポイントとなるようです。
CSOではプロジェクトごとにMRのチームが組織されますが、マネジャー経験があるとチームを束ねることができると判断され、そうした点で重宝されるようです。
※所長だけでなく、リーダー経験もプラスになるとのこと。
③ キーオピニオンDr・大学病院 担当経験がある
KOL(キーオピニオンリーダー)担当や大学担当経験があるMRも今後生き残れる可能性が高いとのこと。
理由はシンプルで、出来る仕事の幅が広いと判断されるため。
各社、これからさらにMRが減っていくと、当然一人のMRが担当するエリアは広がり、担当する施設数も増えることが予想されます。
そうした視点から考えても、大学やKOL担当の経験があると、選ばれやすい人材になることは想像がつきます。
「大学担当MRについてもっと詳しく知りたい!」という方はこちらの記事もご覧ください。≫憧れの大学担当MRになって身についた「7つの力」【前編】
④ MA・MSL経験がある
MA(メディカルアフェアーズ)・MSL経験があると、今後も将来安泰の可能性が高いようです。これは、専門性の高い部署で医療現場のニーズが高まっているため
「MA・MSLってなに?」という方は以下をご覧ください。
MA(メディカルアフェアーズ)の役割
①医療現場におけるアンメットメディカルニーズの把握、②個々の製品の医療における使用の最適化を目的とした活動に関する計画である“メディカルプラン”の作成、③エビデンス創出、④医学・科学的情報の発信・提供―の4つ 引用:ミクスオンライン
年々厳しくなった情報提供ガイドラインで、MRは厳しいコンプライアンスでしめつけられ、医師に話せる情報も限られてきています。
そうした中で、MA・MSLは、営業とは切り離された部隊で、医師から要望があった場合、下記なども可能です。
- 承認前医薬品に関する情報提供
- 適応外使用に関する情報提供
くわしくは、こちらの製薬協の資料をご覧ください。
MRには許されていない、Drが本当に知りたい情報を提供することが出来るため、今後も需要が高いことにも納得できます。
長くなったのでここでいったん、内容を振り返ります。
令和時代、生き残るMR4つの条件
- ①:「オンコロジー」or「スペシャリティ」
- ②:40代以上のMRはマネジャー経験がある
- ③:キーオピニオンDr・大学病院担当の経験がある
- ④:MA(メディカルアフェアーズ)・MSLの経験がある
ぼくのように「出来るだけ長くMRを続けたい」という方は、
例えば、これから所長を目指したり、社内にオンコロジーやスペシャリティ領域の部署があれば異動を検討したり、職位や役割に毛嫌いせず、市場価値をあげるために今できることを考えるのが大切だと思います。
また、転職エージェントはこうも語ります。
「MRさんの高待遇もずっと続く保証はないので、将来を見据えて、もう一つ大切なことをお伝えします。」(コンサルタント)
次の章でお話させていただきます。
MRの将来性を見据え、今からしておくと良いこと
転職コンサルタントに助言をもらった、今後のMRの将来のためにもう一つ大切なこと。
それは「将来を見据え、マネープランを考える」ことです。
こちらのニュースをご存知でしょうか。
アステラス、MR職の給与体系廃止へ
来年4月から全社共通に、大幅減額への懸念も。アステラス製薬はMR職に適用していた給与体系・人事制度を廃止し、2022年4月から全社共通の職務グレードに振り分けることを決めた。引用:日刊薬業
なかなか衝撃的ですよね。
製薬業界の中でも高い年収と手厚い福利厚生で知られる国内大手企業でも”MR職”の高待遇を見直すとのことです。
さらに、日当手当を廃止した会社もあります。
MRの日当廃止、「部門賞与」を導入。住友ファーマが今月から、人事制度改革で生産性向上へ 日刊薬業
こうした流れは、じわじわ業界内に広がることが予想されます。
ちなみに、ぼくは今の会社で、たとえ「日当が廃止」になっても、MRを辞めるつもりは毛頭ありません。なぜなら、という話は【MRの日当廃止】あなたが退職を早まってはいけない「3つの理由」でお話させていただいております。
また、給与や手当の改悪がいつ起きても、心のダメージを最小限にすべく、日頃から以下のようなマインドを持つようにしています。
「今がたまたま恵まれているだけ」何年も前からそう考えるようにしている。外勤するとなぜかもらえる”非課税の日当”、他では聞かない”手厚い住宅手当”。これはきっと普通でも当たり前でもなくて、今がラッキーなだけ。業界がバグっているだけ。そう考えると今にも感謝できる。ただ、絶対なくなるな(祈)
— 外資製薬MR / きすけ (@Kisuke_MR_nomad) February 4, 2023
「今がたまたま恵まれているだけ」何年も前からそう考えるようにしている。外勤するとなぜかもらえる”非課税の日当”、他では聞かない”手厚い住宅手当”。これはきっと普通でも当たり前でもなくて、今がラッキーなだけ。業界がバグっているだけ。そう考えると今にも感謝できる。ただ、絶対なくなるな(祈)
そして、具体的なマネープランの見直しとして、我が家では以下のことに取り組んでいます。
マネープラン見直し
- 生命保険を減額。養老保険も損切り解約
- 固定費の見直し。(携帯は格安SIM)
- 積立NISAを開始(5年目)
- 仮想通貨の投資も開始
- マイホーム購入はしないことに
きっとぼくなんかより良くご存知かと思いますが、もし「積立NISAって何?知らない…」という方は、将来のマネープランを考えるうえで損をしている可能性があります。
少し勉強をして実際に運用を開始することで、効率よく資産を守り増やしてくれます。
ぼくは、こちらの動画が入り口でした↓↓
給与や手当の改悪に備え、マネープランの見直しが大切。
パイプラインから見る製薬企業の将来性
製薬企業の将来性を図るうえで、将来のパイプラインを確認しておくことはとても重要です。
なぜなら、新薬メーカーは新薬がないとビジネスが立ち行かなくなるため。このあたりはよくご存知のことと思います。
製薬会社の開発中のパイプラインも確認しておきましょう。お目当ての企業名をクリックすると各社の今後の開発品についてチェックすることができます。
さらにこちらのAnswersさんが出している表がとても見やすいのでこちらも合わせてご確認ください。
引用:Answers
こう見ると外資のほうがパイプラインが豊富ですね。就活や転職活動で企業を選ぶ際の参考にしていただけると良いかと思います。
【明るい将来性】〇〇MRの需要は高まっていく
これまでMRの将来性について暗い話が続きましたが、ひとつだけ明るい話があります。
それは、CSOのコントラクトMRの将来性です。
各メーカーもコストをかけて正社員MRを採用・育成するよりも、とくに人員が必要な新薬発売時に即戦力の営業リソースをCMR(コントラクトMR)でまかなうといったケースが増えてきています。
事実、メーカーMRが顕著な減少を示すなか、コントラクトMRは減っていません。
引用:MR白書2022より作図
そして、プロの転職エージェントもこう語ります。
「これからますますCSOのコントラクトMRの需要は高まっていくと考えられます。製薬企業も必要なときに必要なだけ営業リソースをかけられる方が効率が良いからです。
最近では、新薬のプロジェクトをまるまるCSOに委託したり、たとえば九州エリアだけCSOのCMRに任せるといったケースすら出てきています。こうした将来性を考慮して、メーカーMRからCSOに転職する方も徐々に増えてきています。
コントラクトMRは未経験者の採用も行っていることもあり、メーカーからの転職では年収が下がるなどのデメリットも存在します。しかし、将来性や勤務地の融通が利きやすい点などを考慮すると、今後さらに需要や人気は高まることが予想されます。」
(MRBiZコンサルタント)
ぼくも今はメーカーMRをしていますが、良いタイミングで早期退職があったらそれに飛びついたり、その時の状況によっては、コントラクトMRへの転身も視野に入れています。
コントラクトMRの将来は明るい。
これからMRを目指している方へ
最後に、これからMRを目指している方へ向けて、少し長く業界にいる筆者より老婆心ながらメッセージを送らせていただきます。
世間やまわりは「MRは将来性がないからやめておけ」あるいは「MRなんてオワコン」と言うかもしれません。
事実、新卒入社の採用人数も減っており、異業種からの転職も厳しくなっている現状は否めません。
今春の新卒採用を行った企業は前年から10社減の73社となり、全体に占める割合は36.1%と4割を下回りました。かつては全体の半数前後だった新卒採用実施企業は年々減少しており、今春新卒を採用した企業は内資で44.7%(前年比4.6ポイント減)、外資で21.7%(7.8ポイント減)にとどまりました。
引用:Answers
しかし、ここはあえて逆説を述べさせてください。個人的には「今こそMRになるべき」と感じています。なぜなら、MRは昔より働きやすくなったから。
少し驚かれたかもしれませんが、【逆説】今こそ製薬会社MRになるべき【ノマドMRが快適すぎる】でくわしく書いておりますので、ご興味あればどうぞ。
Q&A
最後に、MRに関してよくある質問についても回答させていただきます。
Q「MRは面白くない?」
これは、はっきり言って人それぞれだと思います。
例えば、ぼくの同期を見渡しても、何年経っても楽しそうに生き生き仕事をしている同期もいれば、上司とうまくいかず辛そうにしている同期もいます。
これは、MRの仕事内容だけでなく、社内や顧客との人間関係、あるいは勤務地などよっても左右されるところかと思います。
ちなみにぼくは、MRになって十数年経ちましたが、おかげさまで今でも楽しく仕事しています。
顧客であるDrは人格者で尊敬できる方が多く、学ぶことも多いです。
MRやってて1番楽しいのは、リスペクトしているDrと面会して、色々なお話を聞けること。もちろん面会うまくいかなかったり、塩対応されたときは凹むけど、そこに醍醐味が詰まっていると感じる。相手目線で、優しくて、タフで、ストイックで、記憶力ハンパなくて、ときに豪快で。今日も何かを学びとる。
— 外資製薬MR / きすけ (@Kisuke_MR_nomad) April 26, 2023
「MRのやりがい」についてはこちらの記事もご覧ください。
Q「親や友人に、”MRはやめておけ”と言われました。実際どうなのでしょうか?」
もし将来性に不安があり、やめておいた方がよいと思うのであれば、先程もお伝えしたとおり、個人的にはむしろ今こそMRになるべきと主張します。
ただ、MRも結局のところ営業なので、適正は考える必要があると思います。
「どうしても人と話すのが苦手…」あるいは「運転が苦痛」といった方は、ストレスの多い選択になるかもしれません。
「MRが向いている人」に関しては、製薬会社MRが向いている人の特徴12選【優秀なMRから分析】もご参考ください。
Q「MRはひまで楽だと聞いたけどホントですか?」
その疑問、よくわかります。
ぼくも就活生のときは「MRは楽だ」という情報を目にする一方、「MRは激務でしんどい」という相反する話を耳にして不思議に感じていました。
実際にMRをやってみての率直な感想としては、「昔は楽も出来たけど、今は全然楽じゃない」といったところです。
くわしくはこちらの記事で解説していますのでどうぞ。【製薬会社のMRは楽すぎ】と言われる3つの理由「楽をするコツも解説」
Q「MRを辞めた人はどんなセカンドキャリアを歩むことが多いのですか?」
これも人それぞれかと思います。
ただ、年齢や資格の有無によってある程度の傾向があるようです。
ぼくのまわりのMRを辞めた方々の退職後の道とプロのエージェントに聞いた話をこちらの記事でご紹介しています。【MRを辞めた7人の男たち】MR退職後に進んだ道とは…【後悔】
Q「MRはきついですか?」
これは会社や担当の仕事量によりますが、傾向はあります。
仕事がきつくなりがちなケースには以下のようなものがあります。
MR1年目
たとえどんなに優秀な方でも、MR1年目はある程度の苦労がともないます。
最初は知識不足やMSさんとの関係などで悩みが多い時期です。ぼくも振り返ると、MR1年目が一番きつかったです。
「MR1年目につまづきやすいポイントと解決策」についてはこちらの記事で解説しています。
大学担当MR
大学担当MRになると、エリア担当時よりも担当Drの数や企画に携わることも多いので、激務になりがちです。
「大学担当MR」に関してはこちらの記事でくわしく解説してるのでご覧ください。憧れの大学担当MRになって身についた「7つの力」【前編】
パワハラ上司
MRの上司もはっきりいってガチャです。
上司が厳しいと仕事が一気にきつくなります。
ぼくもパワハラ上司に苦しめられたことがあります。
「憎き上司を追い込む方法」はこちらの記事がお役に立てると思います。【パワハラ上司のせいで仕事を辞めたい…】MRが追い込んで形勢逆転する方法
「MRの将来性」まとめ
最後に本記事のまとめをさせていただきます。
- MRは減り続けており、8割を超えるMRが将来に不安を抱えている。
- MR減少の理由はさまざまで、プライマリーMRの減少が一つの要因。
- コロナによる訪問規制や、デジタルの台頭もMR減少を加速させている。
- コロナ後のMRには、”突破力”や”文章力”など新たな力が求められている。
- MRとして生き残るためには、マネジャー経験など特定の条件が必要。
- MRの将来性を考える上では、給与や手当の改悪に備えることも大切。
- コントラクトMRは今後も需要や期待が高まり、将来性は比較的明るい。
MRの将来性は決して明るいものではありませんが、いまMRになるメリットも十分にあると思います。
一方、ぼくのようにMRとして少しでも長く生き残りたい方は、本記事でとりあげた「生き残るための4条件」などを参考に、今後のキャリアを見据えるのが良いかと思います。
また、転職エージェントの登録をしていない方は、危機が迫る前に登録しておくことをオススメします。将来への準備になります。
ぼくも10社近いエージェントの面談を受けましたが、一番求人数が多くて、なおかつ親切なのは、ぶっちぎりでMRBiZです。
今年に入ってからも求人情報をたくさん送っていただいています。面会の体験談はこちらをご覧ください。
※最後に宣伝です。