こんにちは、現役MRのきすけです。
現在は、大手外資系企業でチームリーダーとして働いています。
製薬会社のMRに興味があるけど、「激務でめちゃくちゃ大変そう・・・。」そんなイメージを持たれて不安に感じていませんか?
ぼくもMRになる前、就活生のときは、まさにそんな不安を抱えていました。
MRは、医師を相手にする仕事なので、気づかいも多く、ときにハードワークが求められます。なので、決して楽な仕事ではありません。
しかし、実はすべてのMRが激務という訳ではないです。
MRの激務の度合いは、その役割やタイミングで大きく異なります。
そこで本記事では、「MRと激務」をテーマに、
- MRが激務と言われる「10の理由」
- 激務になりがちなMRの「特徴6選」
- 今はずいぶん働きやすくなった話
などについて、現役MRとしての見解やまわりの実例などもたっぷりと交えて、徹底解説していきます。
MRの仕事内容と1日のスケジュール
MR(Medical Representatives)は、日本語で「医薬情報担当者」と呼ばれ、Drをはじめとする医療関係者に、自社医薬品の情報提供や収集を行うのが主な仕事です。
MR認定センターの正式な定義もご確認ください。
MR(Medical Representatives)は、医薬情報担当者の略称で、自社医薬品の適正使用ならびに薬物療法の向上に貢献するために、医薬品の品質・有効性・安全性等の情報を扱う医薬品情報の専門家です。専門家として業務を行える知識と資質を認められたMR認定証を保持しています。MR認定センター
厳密には、”営業ではない”とも言われていますが、現役MRの立場から言わせていただくと、バリバリの営業です。
なぜなら、毎年、計画数字もありますし、上司からの厳しい追求もあります。
「MRの仕事内容」については、【製薬会社MRの仕事内容は?】現役MRがホンネで語る「やりがい」と「難易度」をご覧ください。
MRの日々の仕事内容に関して、くわしく分解して解説しています。
また、「MRはどんな1日のスケジュールを過ごしているの?」という方はこちらのnote記事もご覧ください。
note記事:製薬会社MR「1日のスケジュール」大学・病院担当編
今年に入ってからの実際の自分の1日のスケジュールをくわしく紹介しています。
そもそもMRは激務なのか?
「そもそもMRは本当に激務なんでしょうか?」
先に結論をお伝えすると、
MRが激務かどうかは、その役割やタイミングによって大きく異なります。
ぼくも長くMRをやっていますが、
- 激務でしんどい時期が何度かありましたし、
- 一方で、比較的余裕をもって仕事が出来た時期
というのもあります。
「激務になりやすいMRの特徴やタイミング」については、記事後半でくわしく解説させていただきます。
とはいえ、一つだけ知っておいていただきたいのは、
MRは基本的に忙しく、決してヒマで楽な仕事ではない。ということ。
正直、ひと昔前はサボるMRもたくさんいましたが、今はそうもいきません。
いくつか理由があるのですが、「MRとサボり」に関しては、【白状】「MRがサボる3つの理由」と「サボるコツ」【サボるのは損】も合わせてご覧ください。
くり返しになりますが、令和のこの時代、MRは決して楽な仕事ではありません。
このことは、あらかじめ知っておいていただくのが良いかと思います。
では、「MRが激務と言われるのには、どんな理由があるのでしょうか?」
次の章でくわしく見ていきましょう。
MRの仕事が”激務”と言われる10の理由
本題に入る前に、先に“激務”の目線合わせをさせて下さい。
「そもそも激務とは、具体的にどんな状態をイメージしますか?」
ぼくはこんな風に考えました。
肉体面:膨大な仕事量に追われ時間の余裕もなく身体の疲れが抜けない。
精神面:あらゆるストレスにさらされ、精神的にもすり減っている状態。
ですので、本記事内では、激務の定義を
「仕事量が多く、肉体的にも精神的にも消耗し、余裕のない状態」とさせてください。
MRが激務と言われる10の理由は以下です。
MRが激務と言われる10の理由
①:朝早く、夜遅い
②:長時間の立ち待ち
③:休日出勤
④:内勤が膨大
⑤:メールと郵送業務
⑥:気づかいが多い
⑦:ノルマに追われる
⑧:講演会やセミナーの企画・運営
⑨:ずっと勉強が必要
⑩:転勤のリスク
①:朝早く、夜遅い
MRの朝は早く、夜は遅いです。
担当のパターンにもよりますが、エリア担当MRでは、朝早くから特約店に行ったり、夜も遅くまで医療機関を訪問したりします。
ぼくも、朝の6時ごろには起きて、7時すぎには自宅を出発。夕方も19:00、20:00までクリニックや病院に訪問して帰りは21:00過ぎ…。ほぼ一日中仕事している感覚の日が少なくありません。
さらに、講演会やセミナーなどがある日は、帰りが22:00を過ぎることもあります。
MRは朝早く、夜遅いので、激務と言われることが多いです。
②:長時間の立ち待ち
病院や大学病院を担当すると、病院内の医局と呼ばれる場所で、お目当ての医師が来るまで長時間立ち待ちすることがあります。
ぼくも今は大学病院を担当をしていますが、少なくとも1日2〜3時間、多い時だと5〜6時間立ち待ちする日もあります。
これが結構、足腰にくるんです。
あとMRは、基本エレベーターを使わないので、階段の上り下りもあります。大学の6階まで階段で登って、2〜3時間立ち待ちする。
これはもはや部活級の運動強度で、身体もさすがに疲れます。
もちろん健康にはいいんですけどね。
病院や大学病院を担当では、階段の上り下りや、立ち待ちをする時間が増えるので、肉体的な負担は増えます。
③:休日出勤
MRはときに、休日の仕事もあります。
例えば、
- 学会のセミナー運営
- 全国講演会にともなう出張
- 土日のゴルフコンペ
など
それ以外にも、得意先のイベントや随行業務で土日に出勤することもあります。
※随行業務…講演をしてもらうDrを現地までアテンドし、講演全般のサポートをすること
昔はDrとの付き合いも濃く、接待なども頻繁にあったため、「MRは土日も仕事があって激務」というイメージが世間的にもあったようですが
、今は接待も出来なくなり、コロナ以降は休日の業務も減ったため、事情が変わってきています。
「MRって接待ができなくなったの?」と思われた方は、【製薬会社MRは接待があって大変?】現役MRが語るリアル【歴史も紐とく】もご覧ください。
「MRの接待の歴史と現在の状況」についてくわしく解説しています。
④:内勤が膨大
MRは外回りの営業だけでなく、内勤業務も膨大です。
例えば、
- アポイントのメール作成
- 毎日の日報入力
- 社内会議資料作成
- 特約店の朝礼資料作成
など
これは、新人のとき先輩に言われた言葉です。
「MRの内勤なんて一生できる」by先輩
「えっ、内勤って一生出来るほど大変なの?またまたご冗談を!」と思われた方、くわしくは、note記事:「製薬会社MRの”内勤”ってどんなことやっているの?」【対社内編】をご覧ください。MRの内勤について、くわしく深掘りして解説しています。
ぼくも、内勤業務が溜まっているときは、夜自宅に帰ってから内勤をして、さらに次の日の朝も早く起きてまた内勤…。(それでも終わらねぇ…。)
そんなこともめずらしくありません。
内勤業務が膨大なこともMRが激務と言われる理由の一つです。
⑤:メールと郵送業務
コロナ以降は、訪問不可の施設も増え、MRは医師との面会が難しくなっています。
23年4月時点で何かしらの訪問規制がある施設の割合は全体で74.1%となった。病院市場ではコロナ後も完全アポイント制が主流となる可能性が高そうだ。ミクスonline
そのため、会えない医師にはメールで製品に関する情報提供を行ったり、リモートで面会を受けてもらえないか、アポイントの打診メールを送ることが劇的に増えました。
ぼくも多いときはメールを1日に何十通も送ることがありますが、このメールを送る作業もけっこう神経を使います。
1通のメールを送るのに、
- 誤字はないか
- 宛先・肩書に誤りはないか
- ここの文章、もっと良い表現はないかな
- 送り先にヌケモレはないか
などなど
相手がDrなこともあり、1通のメールや1通の手紙に、細心の注意を払いながら作業する必要があるのです。
コロナ以降のMRはメールや郵送の仕事がずいぶん増えました。
⑥:気づかいが多い
MRは多方面に気をつかう仕事です。もっとも気の使う相手はなんといってもDrです。
Dr自身が一流の気づかいを持ち合わせている方も多く、MRを見る目もよく肥えています。
ぼくもMRになって十数年経ちますが、Dr相手の仕事はいつも気が抜けないし、面会や講演会のあとはどっと疲れが押し寄せます。
「気づかいが出来るMRって具体的にどんな人?」と思われた方はこちらのPostもご参考ください。
40代後半/大学/講師
随行中、ゆっくりお話出来たので質問
「これまで出会ったMRで最も優秀な方の特徴とその理由を教えてください。」…— 外資製薬MR / きすけ (@Kisuke_MR_nomad) May 14, 2023
また、MRが気をつかう相手はDrだけではありません。
- 特約店のMSさん
- 薬剤師さん
- 病院や大学の秘書さん
- コメディカル
- 社内では上司、同僚など。
MRは日々気づかいが多く、神経がすり減る仕事であることも激務と言われる所以(ゆえん)です。
⑦:ノルマに追われる
MRは、MRである以上、ノルマに追われ続けます。
記事冒頭でも触れましたが、MRは医薬情報担当者で、厳密には営業でない。とされていますが、実情はバリバリの営業です。
毎年、計画数字が割り振られますし、その計画を達成するためのプランを練って、期が終わるまでに責任数字を遂行する必要があります。
そして、その結果によって評価が決まり、給与やボーナス、しいては昇格が決まります。このあたりは、他の営業となんら変わりありません。
とはいえ、生命関連性の高い倫理観が求められる特殊な営業であることは確かで、無理な押し売りはコンプライアンス違反になりかねません。
その点、他業界の営業よりは、会社や上司からの追求は少ないと考えられます。
その一つの証拠に、異業種からMRに転職したぼくの知人は、「MRはぬるいっす」と言います。ご興味ある方はこちらのPostをどうぞ。
⑧:講演会やセミナーの企画・運営
MRになると、通常の面会での情報提供活動に加え、製品の適正使用推進や普及を目的に、講演会やセミナーを企画運営することがあります。
この講演会がMRの仕事の中でもとくに難易度が高く大変な仕事の一つです。
くわしい話は長くなるので割愛しますが、かかる労力はこんな感じです。
- まず企画段階で頭を捻りますし、
- 立案後は、集客のプレッシャーに追われ、
- 当日も、運営で不備はないか?
- 最近はWebで行う講演会も増えてきたので、
- 念密な電波状況の確認やZoom操作など、
とにかく、多方面への集中力が長時間必要とされる大仕事です。
ぼくもこれまでに少なくとも60回を超える、主幹講演会の企画と運営を経験しましたが、いまだに一つの講演会が終わった後は、疲れがどっと押し寄せます。
夜は泥のように寝て、次の日は緊張からの解放のためか、背中が張ってなかなか起き上がれないようなこともあります。それくらい講演会は疲れます。
当ブログでは、そんな難易度の高い仕事である、講演会の運営マニュアルも完全無料公開しています。今後MRになってお困りの際は、【超初心者向け】MRのエリア講演会「企画から運営」【7STEPマニュアル】もご参考ください!
https://kyoukarabokuha-mr.com/2022/09/01/%e3%80%90%e8%b6%85%e5%88%9d%e5%bf%83%e8%80%85%e5%90%91%e3%81%91%e3%80%91mr%e3%81%ae%e3%82%a8%e3%83%aa%e3%82%a2%e8%ac%9b%e6%bc%94%e4%bc%9a%e3%80%8c%e4%bc%81%e7%94%bb%e3%81%8b%e3%82%89%e9%81%8b%e5%96%b6/
⑨:ずっと勉強が必要
MRはずっと勉強し続けなければいけない仕事です。
それもそのはず。相手は医療の世界のTOPにいるDrです。
ずっと勉強が必要なこともMRが激務と言われる一つの要素となっています。
MRの勉強の種類を挙げると以下3つです。
①:MR認定試験
②:継続教育
③:最新の医学知識
以下、それぞれ解説させていただきます。
①:MR認定試験
MRになるために必要な試験で、合格すると晴れてMR認定証とMRバッジが与えられます。
MR認定試験については、【朗報あり】製薬会社のMRになるには?必要な条件や手順を徹底解説!でくわしく解説しています。
②:継続教育
MR認定証を維持するために必要な教育とテストです。
継続教育は、MR活動に必要な資質を維持・向上させるために生涯にわたり取り組む教育研修です。日進月歩で進化する医療業界の中で、新しい情報、知識および技能等を修得するために行われています。継続教育は、年度単位で履修を完了することが求められます。
継続教育は、基礎教育と実務教育に分けられます。MR認定センター
すべてのMRが毎月、社内のe-larningなどを視聴して、テストに合格するといった勉強を日常的に行っています。
忙しい外勤時間の合間にやらなければいけないのでこれが地味に負担になります。
③:最新の医学知識
MRは、日々の医学知識の研鑽は欠かせません。
具体的には、
- 疾患の知識
- 自社医薬品の知識
- 最新の文献やGL
- 競合品情報まで
これらは一度勉強したらおしまい。ではなく、日々、情報はアップデートされるため研鑽に終わりはありません。
それ以外にもメーカーによっては、定期的に製品の試験があり、その点数が評価や昇格に影響する製薬企業もあります。
ちなみにぼくの会社でも定期的に製品に関する試験があり、その度に朝早く起きて勉強時間にあてたり、土日はカフェに行って勉強することもあります。
⑩:転勤のリスク
MRは常に転勤のリスクのともなう仕事です。
転勤は物理的に激務という訳ではないですが、精神的に大きなプレッシャーかかるイベントです。
ご家族やパートナーのいらっしゃる方では、転勤は自分自身の問題だけでなく、家族やパートナーの生活にも大きな影響を及ぼします。
我が家も子供が小さいので、転勤にともなう不安は絶えません。
- 子供が新しい小学校にちゃんと馴染んでくれるかな
- 奥さんもせっかく仲の良いママ友出来たのに離れさせるの申し訳ないな…
- 自分も新しい営業所メンバーや顧客とうまくやっていけるだろうか…
ご覧のようにさまざまな不安的要素を伴うのが転勤です。
とはいえ、転勤も100%悪いことばかりではありません。何度か転勤を経験する中で、MRの転勤にはポジティブな側面もあると気付きました。
こちらのPostもご覧ください。
「MRは転勤があって大変」という意見が多いし、昔の自分もまさにそう思っていたけど、今はわりとポジティブに捉えている。
というのも、これまで転勤でいくつかの土地を経験して思うのは、「日本はどこもいいところ」その土地々の良さがある。…
— 外資製薬MR / きすけ (@Kisuke_MR_nomad) September 23, 2023
「MRは転勤があって大変」という意見が多いし、昔の自分もまさにそう思っていたけど、今はわりとポジティブに捉えている。
というのも、これまで転勤でいくつかの土地を経験して思うのは、「日本はどこもいいところ」その土地々の良さがある。
気付けば僕も妻も、5年も経つと次の土地に行きたくなる体質に。もちろん大変さはあるけれど、悪いことばかりじゃない。 日本のいろいろな土地を楽しめる。
もちろん子供の転校など、転勤にともなう悩みや気苦労は絶えませんが、色々な土地を経験できることは人生を豊かにしてくれると感じています。
少し長くなったの、MRが激務と言われる10の理由について振り返ります。
MRが激務と言われる10の理由
①:朝早く、夜遅い
②:長時間の立ち待ち
③:休日出勤
④:内勤が膨大
⑤:メールと郵送業務
⑥:気づかいが多い
⑦:ノルマに追われる
⑧:講演会やセミナーの企画・運営
⑨:ずっと勉強が必要
⑩:転勤のリスク
MRが激務と言われる理由については十分ご理解いただけたかと思います。
そして、記事の冒頭でもお伝えしましたが、とくに激務なMRの特徴というものがいくつかあります。
次の章でくわしく見ていきましょう。
激務になりがちな「MRの特徴6選」
MRは基本的に忙しいですが、
とくに激務なMRの役割やタイミングというものがあります。
「じゃあ、どんなMRが激務なのか?」
激務MRの特徴は以下6つです。
激務MR「6つの特徴」
①:担当施設が多い
②:都会MR
③:新薬発売後
④:大学病院担当
⑤:本社勤務
⑥:営業所長
①:担当施設が多い
1つ目は、担当施設の多いMR
担当施設や重要ターゲット医師数の多いMRは、それだけ多くの仕事をこなさなければいけいないので、激務になります。
「じゃあ、担当施設が多いMRとは?」という疑問が生まれますが、ぼくの経験上、仕事の出来る若手や中堅に多いイメージです。
結局、上司は結果を出すやつに仕事を任せたがるんです。これはどの業界も同じです。
手前味噌な経験談ですが、ぼくも上司から次々と重要施設を付けられたことがあります。
「〇〇クリニックは重要先だから今期から頼む」
「〇〇先生は気難しいから担当してくれないか?」
こうした上司の要求をなんでも受け入れると、激務さはどんどん増していきます。
その他にも、
- 若手新卒MRが突然辞めた。
- ママさんMRに第二子が出来て産休に入った。
こうしたイレギュラーで担当が増えることもあります。
担当施設が多いと、それと比例してMRの激務度は増します。
②:都会MR
地方よりも都会のMRの方が激務になりがちです。
なぜなら、軒数も多く、朝早く、夜遅くなりがちだから。
ここはちょっと深掘りします。
超朝型卸訪問
例えば都内だと、朝、特約店に行くまでに首都高がめちゃくちゃ混むので、家を5時台に出るケースもあります。
また特約店に着いても、駐車場が狭く、メーカーも多いので、5時に家を出たのに卸の駐車場に車を停められない…。という悲劇すらあります。
一方、地方だとそんなに道は混まないので、早くても出発はいいところ7時台です。駐車場も比較的広く、駐車場に停められないケースは少ないです。
遅くまでやっているクリニック
都会のクリニックは、仕事終わりのサラリーマンをターゲットにしている医療機関も多く、夜遅くまで診療しているケースが少なくないです。
MRは、20:00、21:00の診療終わりまで待って面会するので、帰宅するのはさらに遅くなります。22:00過ぎにようやく自宅に着いて、食事をとってお風呂に入ってもう寝るだけ…。そして次の日はまた特約店に行くために5時起き…。
朝早くから夜遅くまで仕事できてしまう都会MRは、激務になりがちです。
③:新薬承認発売前後
MRが最も忙しくなるのが、新薬の承認や発売の前後です。
ご存知のとおり、製薬企業は持続的に新薬を上市して、売上を上げ続けなければ存続は厳しくなります。
新薬創出加算などの助け舟的な制度もありますが、国はジェネリック医薬品の使用を推奨していますし、その動きに抗うことは出来ません。
そして、新薬上市の成功は、最初の1〜2年で勝負が決まるとも言われています。
なので、ここは全社一丸となって、活動量をあげる必要があります。
④:大学病院担当
大学病院を担当するとMRは一気に激務になります。
理由としては、
・担当するDrの数が多い
・一つの科で多い20〜40人いるケースも
・講演会業務が膨大
ぼくもかれこれここ5年以上は大学を担当していますが、エリア担当のときと比べると業務量は2倍〜3倍になったと感じております。
「大学担当MRについてもっとくわしく知りたい!」という方は、以下の記事たちもぜひ参考にしてみて下さい。
大学担当MR1年目に「知っておくべきこと」と「失敗を避ける方法」
⑤:本社勤務
本社勤務も激務になりやすいです。
ぼくは本社経験はないのですが、本社のマーケティングに行った後輩など、まわりから聞いた具体的な話は以下です。
ずっと会議
チームのミーティングはもちろん、グローバルの会議もスケジュールが空いていたらガンガン入れられる。キリがないので、聞くだけの会議などのときは、参加しながら他のタスクをこなすことも多い。
メールの嵐
本社にいると各方面から毎日大量のメールが送られてくる。中には大切なメールも多いので、見定めながら高速で処理しなければならない。メールの処理スピードと正確性が求められます。
出張が多い
KOL(全国的に著名なDr)など、重要な医師の企画や、全国講演会などでは現地の運営をサポートするケースがあり、意外と出張も多い。
本社マーケティングに行った後輩は、「子供も小さいのに出張多いので、妻から冷ややかな視線を浴びています…。」と嘆いていた。
本社勤務は華やかさがある一方、影では膨大なタスクをこなし、泥臭い仕事もこなしています。
⑥:営業所長
管理職なので、実質MRではないのですが、製薬会社で一番忙しそうなのは、営業所長だと思います。
なにせ最近の所長は圧倒的に仕事量が多くて激務です。これはデジタル化が進み、管理するものが増えたことが大きいです。
本社からくる無数のメールをさばきつつ、常に提出物に追われながら、部下をマネジメントして営業所の数字を上げなければいけない。
おまけに、昨今のコンプライアンス厳格化で、パワハラやセクハラに細心の注意を払いながら部下に接する必要もあります。
営業所長になれば、1000~1500万円の年収が約束されますが、「これでは足りない…」となげく所長もいるほどです。
営業所長も超激務です。
いかがでしたでしょうか。
激務になりがちなMRの特徴について、イメージわきましたでしょうか?
長くなったのでいったん振り返ります。
激務MR「6つの特徴」
①:担当施設が多い
②:都会MR
③:新薬発売後
④:大学病院担当
⑤:本社勤務
⑥:営業所長
上記の役割やタイミングの際は、さらに忙しくなると心づもりしていただくのが良いかと思います。
これまでのお話で示したように、MRはときに激務です。
ぼくも激務が続き、毎日ヘトヘトで「いっそのこと辞めたほうが楽かも…」と考えていた時期さえあります。
しかし、MRは、たとえどんなに激務でも報われる仕事でもあります。
「それはなぜか?」
その理由については、次の章で解説していきたいと思います。
MRはたとえ激務でも報われる4つの理由
MRはたとえ激務でも、報われる仕事です。
なぜなら、得られるものが4つあるから
具体的は以下です。
MRが激務でも報われる4つの理由
①:やりがい
②:成長
③:給料
④:休み
①:やりがい
MRはやりがいの大きい仕事です。
企業と自分の仕事を通じて、医療に貢献することができます。
「MRの医療貢献などキレイごとでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、MRは間接的に医療、患者さんに貢献できます。
現場に出るとわかるのですが、熱意とアイディアさえあれば、MRに出来ることってたくさんあるんです。その地域の患者さんのアウトカム(予後)に貢献することだって可能です。
話すと長くなるので、「MRのやりがい」については、【給料だけじゃない!】MRの真のやりがい3つ【MRは患者さんを救う】をご覧ください。
MRは激務だけど、医療貢献というやりがいがあるから報われる。
②:成長
MRは超絶成長できる仕事です。
ぼくは自他ともに認めるポンコツでしたが、MRの仕事のおかげでたくさん成長させてもらいました。
なにより、1番の顧客であるDrは、人間的にも素晴らしい方が多く、ふだんお会いする中で多くのことを学ばせてもらっています。
ときに激務で、難易度の高い仕事も多く大変な仕事ですが、その先に大きな成長という報酬が待っています。
僕がポンコツからMRになって成長した過程は【朗報あり】MRはしんどいけど、超絶成長できる仕事【見返りは大きい】でくわしくお話させていただいております。
MRは激務で大変だけど、その先に大きな成長があるから報われる。
③:給料
ここは期待している方が多いかと思います。
MRはご存知のとおり、高給です。
メーカー職の中ではもっとも給料の高い仕事です。
ぼくもいまはMR十数年目で年収は1000万円を越えました。
子供もいますが、なに不自由なく満足のいく生活をさせてもらっています。
「MRの稼ぎ」については、【とにかく稼ぎたいあなたへ】MRは圧倒的に稼げる仕事です【夢がある】をご覧ください。
MRはたとえ激務でも、たくさん稼げるので報われ感がある。
④:休み
MRが高い給料や福利厚生にくわえ、たくさん休みのある仕事です。
なんと営業系の中ではもっとも休みの多い仕事です。
全56職種別の年間休日数(有給休暇含む)を見ると、最も多いのは「製造系−研究開発」の134.1日、次いで「製造系−設計/開発」(134.0日)、「営業系−MR(医薬情報担当者)」(133.0日)が続きます。※「最も休日が多い職種は?休日数ランキング」転職サイトDODA
実際、暦通りに休めるし、近年は有給もかなり取りやすくなっていて、GWやお盆、正月は10連休以上を取ることもめずらしくありません。
ぼくの妻は、ママ友から「旦那さん休み多いよね。フリーランス?」と聞かれたことすらあるほどです。
「MRの休み」については、【こっそり教えます】MRの休日の実態は?【去年休んだ日数を公開】をご覧ください。
ぼくが実際に年間で休んだ日数などを公開しています。
MRは激務だけど、たくさんの休みがあるから報われる。
MRが激務だけど、報われる理由について振り返ります。
MRが激務でも報われる4つの理由
①:やりがい
②:成長
③:給料
④:休み
実はこうした報われ感から、MRを辞めた人の9割は、またMRに戻ってくるという衝撃的な話があるほどです。
ご興味ある方は、【MRを辞めたい方向け】辞める前に知ってほしい「衝撃の9割」の話しをご覧ください。
そしてさらにお伝えすべき朗報があります。
MRはこれまで以上に働きやすくなりました。
次の章でくわしく解説させていただきます。
MRの激務は薄れ、今はずいぶん働きやすくなった話
MRの激務さはここ数年で薄れ、これまで以上に働きやすくなりました。
理由は2つです。
理由①:コンプライアンスの強化
製薬業界は年々コンプライアンスが厳しくなっています。
一つは接待です。MRといえば「接待が大変」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、実はもうほぼ接待は出来ません。
くわしくは、【製薬会社MRは接待があって大変?】現役MRが語るリアル【歴史も紐とく】をご覧ください。
ぼくも昔は夜遅くまで接待があったり、土日に家を空けることもありましたが、そうしたことがなくなったので、ライフワークバランスは良くなったと思います。
理由②:コロナによる変化
他の職種同様に、コロナはMRの働き方にも大きな変化を及ぼしました。
コロナでリモート化が進み、あらゆるムダが削ぎ落とされ時間のゆとりができました。
こちらのpostもご参考下さい。
“MRコロナ後の働き方変化″
変わって良かったこと3つ① : 朝晩の医局立ちんぼなくなった
→1日約3〜4h
頭冴えてる朝に内勤出来るの最高② : 講演会後の意見交換会なくなった
→ 会終了後サクッと帰れるの最高③ :土日の仕事減少
→ 全国講演会も随行もゴルフもなし個人的には今が最高です
— 外資製薬MR / きすけ (@Kisuke_MR_nomad) August 23, 2022
“MRコロナ後の働き方変化″
変わって良かったこと3つ
① : 朝晩の医局立ちんぼなくなった
→1日約3〜4h
頭冴えてる朝に内勤出来るの最高
② : 講演会後の意見交換会なくなった
→ 会終了後サクッと帰れるの最高
③ :土日の仕事減少
→ 全国講演会も随行もゴルフもなし
個人的には今が最高です
ご覧のように、コロナ以降は、医局の立ち待ちや休日の仕事が減ったので、激務度は薄れさらに働きやすくなったと感じています。
これまでの話で、MRへの魅力や興味が高まった方もいらっしゃると思います。
「MRになるにはどうしたら良いのか?」
次の章でくわしくご紹介します。
製薬会社MRになる方法
もうすでに調べられている方ではご存知かもしれませんが、MRになる方法は、新卒学生さんと転職でMRを目指す方で異なります。
具体的には以下
新卒学生さん
→ 就活して製薬企業に入社
転職でMRを目指す方
→ 転職活動をしてCSOに入社するのが王道ルートです。
くわしい手順などについては【朗報あり】製薬会社のMRになるには?必要な条件や手順を徹底解説!をご覧ください。
転職の方で、「とにかく早く動き出したい!」という方は、まずは転職エージェントに相談されるのが良いかと思います。
当サイトでは、DODAをオススメしています。
医療系のプロのコンサルタントが無料で相談にのってくれます。
\ 登録5分 /
MRに関するQ&A
最後に、MRに関するよくある質問についても触れたいと思います。
MRの年収は?
MRの平均年収は、厚生労働省の調査で、578万円という結果が出ています。
しかし、現役MRの立場からすると「いやいやこんなものじゃないでしょ!」というのが正直なところです。
「MRの年収」についてもっと詳しく知りたい方は、【どこが高い?】製薬会社MR年収ランキング「高年収MR5つの要素とは?」もご覧ください。
MRの「リアルな年収事情」や「年収の高い製薬企業ランキング」などについてくわしく解説しています。
MRは楽すぎ?
ネットやSNSを見ると「MRは楽すぎる」という意見も見かけることがあります。
本記事でもいろいろお話させていただきましたが、MRは決して楽な仕事ではありません。
とくに近年ではデジタル化も進み、MRの仕事もあらゆるものが管理されるようになりました。
「えっ?具体的には?」と疑問を持たれた方は、【製薬会社のMRは楽すぎ】と言われる3つの理由「楽をするコツも解説」もぜひご参考下さい。MRが楽すぎと言われる理由と楽をするコツについても解説しています。
MRに向いている人は?シャイでもなれる?
MRを目指している方の中には、「自分はシャイで、MRに向いているか不安…」と感じている方もいらっしゃると思います。
ぼくも就活生のころは、「MRは口がうまくてコミュ力の高い人」だと思いっていましたが、実際は、口下手でシャイの方でも活躍できます。
こちらのpostもご参考下さい。
「シャイで口ベタな人は、MRに向かないのか?」
まだMRになる前、就活生のころ、
MRに向いている人といえば、「コミュ力が高くて口が上手い人」
であって、「シャイで口ベタな人」は
MRに向いていないと思っていた。いざ、MRになって十数年…
当時の疑問に対する答え合わせを…
— 外資製薬MR / きすけ (@Kisuke_MR_nomad) July 23, 2023
またMRに向いている人の特徴についても記事を書いています。くわしくは、製薬会社MRが向いている人の特徴12選【優秀なMRから分析】をご参考下さい。
これまで出会った優秀なMRたちからMRに向いている人の共通項を割り出して紹介してしています。
「MRと激務」まとめ
この記事では、MRが激務と言われる理由や、激務になりやすいMRの特徴などについて解説させていただきました。
最後に内容をまとめさせていただきます。
- MRは基本的に忙しいが、その激務度は役割やタイミングによって大きく異なる。
- MRが激務と言われる理由に拘束時間が長いことが挙げられる。朝早く夜は遅い。
- その他、膨大な内勤業務をこなす必要があり、コロナ以降は郵送やメールも多い。
- 医師を相手にする仕事のため、細かい気づかいと、精神的なタフさも求められる。
- その他、ずっと勉強する必要があったり、ノルマに追われるなどの大変さがある。
- 大学病院担当や本社勤務(マーケなど)などでは仕事量も多く、激務になりやすい。
- MRはたとえ激務でも、やりがいと成長、高い給料が得られる為、報われやすい。
- コロナ以降、多くのムダが削ぎ落とされ激務度は薄まりさらに働きやすい仕事に。
MRはときに激務で大変ですが、やりがいもあり報われ感のあるいい仕事です。
令和に入ってからは、MRの将来性を危ぶむ声も絶えませんが、個人的には「今こそMRになるべき」と感じています。【逆説】今こそ製薬会社MRになるべき【ノマドMRが快適すぎる】
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